YAMAGATA INTECHは、SGIの提唱するVizImpressのパートナーとして、6月28日開催された「SiliconLIVE!フォーラム2006」に参加しました。パネルディスカッション「VizImpressイニシアチブが切り拓くコンテンツが主役の時代ー次世代のデジタルコンテンツクリエイションがビジネスを変える」の内容をレポートします。

今回レポートするのは「SiliconLIVE!フォーラム2006」Session 1のパネルディスカッション「VizImpressイニシアティブが切り拓くコンテンツが主役の時代-次世代のデジタルコンテンツクリエイションが、ビジネスを変える!」。
ここに登壇したパネリストは、葵プロモーションの企画演出第一グループリーダー兼チーフディレクター 牧野由紀夫氏、エクスペリエンス 代表取締役社長の橘守氏、デジタルニッチ アーカイビング 代表取締役社長の中野潔氏、YAMAGATA INTECH システム統括部ディレクター 嶋崎和氏の4人。それぞれ、「CM」、「インターネット」、「展示」、「印刷」という各分野を代表する形で、現在の経験を踏まえてコンテンツの将来を語りました。
まず、コーディネーターを務めた日本SGI SiliconLIVEシステム事業本部 副本部長の森田茂が提起したテーマは「次世代コンテンツのあり方」。各パネリストは自己紹介を交えながら、現在の仕事の内容とコンテンツに対する取り組みを紹介しました。
口火を切ったのは、国内のテレビCM業界でトップ企業と定評のある、葵プロモーションの牧野氏。
同氏は「私たちは基本的に15秒、30秒というテレビ・コマーシャルを制作していますが、最近はCM以外にWebコンテンツやドラマ、ムービーなどの映像コンテンツ、また携帯電話への映像コンテンツ制作の仕事が増加しています。15秒、30秒のCMを制作する上でもっとも大事なことは、お茶の間にいる人にテレビを振り向いてもらうということです。日本SGIが提唱している“魅せる”コンテンツ作りがCMでは一番必要なことだと思っています」と語り、続いてご自身が制作したいくつかのCMフィルムを紹介しました。
その中では、新しいCMの形としてWebで流されたインタラクティブ形式のショートムービーCMも紹介され、CM業界の新たな動きを理解することができました。

続いてスピーチをしたのは、エクスペリエンスの橘氏。同氏は、インターネットの切り口から、まず、コンタクトポイントとしてのWebの価値が増大している現状を、以下のようにアピールしました。
「この数年でWebの表現力は飛躍的に向上しています。その背景にはFlashやAjax、そしてVISTAなどの新しいテクノロジがあり、携帯電話でもリッチコンテンツが展開される時代になっています。そしてブロードバンド・アクセス比率を見ると、最近ではすべてのアクセスの95%はブロードバンド・アクセスとなっており、作る者と受ける者が一体となってリッチなものを見ることができる環境になっています。
さらにWebのメディアポジションという点では、ハードディスク(HD)レコーダー閲覧者の6割以上はCMを見ないという野村総合研究所の統計データがあります。このHDは4年後には全世帯の50%にまで普及するといわれており、つまり近い将来多くの世帯の6割以上はCMをスキップしてしまう時代になるといことです。
一方で、Webは商品を選択するためのメディアとしてはすでに何年も前からNo.1であり、インターネットを見ている時間はテレビを見る時間に匹敵しています」
橘氏は、具体的なデータを示しながら「お客様のバジェットのポートフォリオが変化し、Webにさらに投資するという時代が来ています」と結論づけ、インターネットで繊細な音声表現が可能になっている現状、さらには鮮明な画像、CG、音声などを駆使したクオリティの高いWeb対応のCMムービーを紹介しました。
YAMAGATA INTECH株式会社続いてスピーチしたのはYAMAGATA INTECHの嶋崎氏。
同氏は「私たちは印刷会社ですが、制作から取り組んでおり、業界では珍しい取り扱い説明書専門の会社です。昨年度発売された携帯電話のマニュアルの約半数は私たちが制作しています。また自動車のマニュアル、放送機器のプロ用のメンテナンス・マニュアルなど専門的エリアも取り組んでいます」と会社の概要を紹介した後、その分野での課題を次のように語りました。
「操作が複雑になるにしたがって従来のような紙のマニュアル作りが難しい状況になり、たとえば携帯電話のマニュアルは機器そのものより重いということになってしまっています。そして、今までの紙のマニュアルは製品の部品でしたが、現在では製品のインタフェースとなり、メーカーの意志をユーザに伝えたり、ユーザがメーカーに何かをフィードバックするためのインタフェースとなったりする状況が生まれています。今後は、マニュアルはインタフェースになるというのが私たちの考えです」
同社は、こうした考えに基づき「The Interface Provider」というメッセージを今後積極的に打ち出していくことでした。

続いて嶋崎氏が示したのは、昨年オリンパスが発表した「m:robe」というミュージック・プレイヤー。同製品を海外展開する際、営業マンや販売代理店にその機能を伝えるために同社がマニュアルのコンテンツを制作しました。
嶋崎氏は「取り扱い説明書はエンジニアリングの工程から出てくるもので、企画の段階から私たちのメンバーが念密に接触をし、会議の議事録から製品の形をそのたびに検討し、デジタル・プロトタイプとしてそのコンテンツを作り上げていきました。これは、製品そのものの機能をPC上に実現し、製造から販売までの工程の課題をその段階でピックアップするものです」と、エンドユーザだけでなく、製品に関わる人たちにその主旨を伝える“動く仕様書”を作ることの重要性を訴えました。
そして「コンテンツを単一の目的だけに作る、たとえば取り扱い説明書を製品出荷前に作るという時代は終わり、企業内のすべての工程でこうしたデジタルコンテンツは生かせるようになっていると思います」と指摘。まさに、日本SGIが主張する「企業内コンテンツを発掘し、流通することの重要性」を裏付ける内容がここで紹介されました。
株式会社 デジタル ニッチ アーカイビング最後に発言したのはデジタル ニッチ アーカイビングの中野氏。同社は「大型ディスプレイを用い、インタラクティブなコンテンツの制作やアーカイブを行う会社」(同氏)で、日本SGIの対話型リッチコンテンツ統合プレゼンテーションソリューション「VizImpress」を初期の段階から活用しています。
中野氏は「VizImpressによる画像の表示の仕組みを利用し、いろいろなコンテンツを作っています」と語り、すでに多くの企業や公共団体、大学などの展示施設、ミュージアムで稼働している多彩なコンテンツを紹介しました。そして、「基本的にはメディアミックスで、たとえば料理ガイドブックの印刷データを用いて、その中で使用されている静止画像を動画に置き換えることで、より直感的に分かりやすく、料理の手順を説明できるデジタルレシピのコンテンツを制作しています」とコメントしました。
各氏の発言に続き、パネルディスカッションではコンテンツ制作における課題というテーマを取り上げました。
これについて、葵プロモーションの牧野氏は「橘氏が指摘したように、テレビのCMを見る人がどんどん少なくなっている現実の中で、企業がメッセージを流していく場をどうするのかが問題」、橘氏は「インターネットが放送を“食べる”ことはないと思いますが、今のCMにかけているお金はそのままでいいのですかという問題はあると思います。これまで広告費に1億の予算があったら、その9割をテレビにかけていた時代が変わるという話です」と発言しました。
さらに言葉を続け「そのような時代になったとしても、それをできる人が少ないという問題をどう解決するかが課題」と、ここでもクリエーター不足の問題が指摘されました。
印刷業界を代表する形のYAMAGATA INTECHの嶋崎氏は「どのエリアでも、分かりやすい説明のためのコンテンツが必要になっています。企業のメッセージをユーザに伝えるためには、動画、音声、さらに私たちのような具象化、抽象化などいろいろな手法を使うことが必要だと思います。その一方で、現在私たちはその分野の専門家が開発工程から参画してマニュアルを制作していますが、こうした手法がコンシューマの分野でも広がっていくと考えられます。そうしたプロフェッショナルな人材が今後さらに必要になります」と語りました。
こうした問題提起に対し、中野氏は「クオリティの問題はありますが、工夫次第で、それほど資金をかけずにある程度のコンテンツは制作できます」と発言し、その具体的な作品をいくつか示しました。
パネルディスカッションのテーマはその後、各メディアの基本的な差異、コンテンツ表現のためのシチュエーションの問題、さらにコンテンツ制作コストの問題、コンテンツ制作の投資対効果などに及びました。結論として、放送と通信の連携などに代表される業界の垣根を越えたノウハウ、テクノロジが今後さらに重要になると締めくくられました。